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Last Update: 2002/07/03 16:52


2002/07/03 Wed

プレプリ

明日の速報のためにプレプリを印刷しておいたので, まずは選別. abstだけすべて要約してみようかと.
  1. Turbulent diffusion and drift in galactic magnetic fields and the explanation of the knee in the cosmic ray spectrum
    宇宙線スペクトルのニー(肘)の変化の理由が, 宇宙線散逸機構の変化, つまり横方向拡散 transverse diffusion からドリフト drifts への変化として説明できることを示す. 現実的な銀河磁場モデルと強く乱れた(Kolmogorovスペクトルをもつ)拡散係数を入れて拡散方程式を解いた. これらの効果を適切に取り入れると, ニーの構造が説明でき, ニー領域で重元素への移行が予言される.
  2. Has the GZK cutoff been discovered?
    Fly's Eye, HiRes, Yakutsk 宇宙線実験の観測データを組み合わせることで, 統計的に有意(7σ)に GZK カットオフが観測的に見えていることを示す. しかし, トップダウンモデルは AGASA のデータと無矛盾である. トップダウンモデルとその他のモデルの違いを調べるには, より高精度の観測が1018-5×1019GeV領域で必要となる.
  3. Vacuum polarization energy losses of high energy cosmic rays
    高エネルギー宇宙線が銀河間空間を伝播する際の真空偏極によるエネルギー損失を考える. この過程は運動する荷電粒子によるCBRの偏極によるものである. この過程を詳細に記述するため, 光子質量, 屈折率, および誘電率を導く. 計算により伝播する陽子に対して目立った効果を及ぼすことが分かった. この偏極による損失の効果について議論する.
  4. Images of very high energy cosmic ray sources in the Galaxy I. A source towards the Galactic Centre
    (AGASA と SUGAR による)最近の1018GeVの宇宙線の異方性の解析により, 銀河中心と白鳥座に有意な超過がみられる. このような異方性が単一のソースからもたらされるかどうかをチェックする. 2つの銀河磁場モデルに対し, 銀河中心にある短命な単一ソースにより注入された陽子の伝播を調べる. 現在のイメージとは違い, 一様磁場により実際のソースの方向とは大きな角度距離をもつ遅れたイメージができることを示す. イメージは粒子注入からの経過時間に強く依存し, エネルギーにも敏感である. 若いパルサーによる粒子注入にとって好ましい条件を考えると, 予言されるフラックスは観測されたものより2-4桁大きくなる. その数は採用した銀河磁場モデルに強く依存するが, 銀河中心にある単一のパルサーが観測される超過の原因であるようにみえる.
  5. Plasma Wakefield Acceleration for Ultra High Energy Cosmic Rays
    試験粒子の単位距離あたりのエネルギーゲインがローレンツ不変であるような, 相対論的に流れているプラズマでのAlfven衝撃波により誘起される航跡場による加速機構を調べる. 加速粒子が無衝突となりプラズマ中でエネルギーを損失しなくなるような透明度の閾値条件が存在することを示す. ランダムな加速-減速フェーズとの確率的な遭遇によりべき則スペクトルとなる: . このようなプラズマ航跡場加速に適した環境は宇宙にありふれている. 例として, 超GZK超高エネルギー宇宙線(UHECR)がこの機構によりGRB大気で生成されることを示す. 加速勾配はG〜1016eV/cmとなる. 期待される生成率はUHECRの観測と一致する.
  6. Ultrahigh energy cosmic rays from dark matter annihilation
    クランプした超重ダークマターの消滅によりUHECRの起源が説明できる. 予言される異方性によりこのシナリオを検証できる.


2002/07/02 Tue

数値について

何を悩んでいたかといえば, 現在の銀河での数密度に比べ, 計算上の数密度が2桁以上小さいということ. 注入率が小さいからかと思ったが, そうではなかったことが判明. でも, その中で気がついた. 注入率は銀河体積Vを必要とする. 注入率の数値を求める際には半径10kpc, 高さ1kpcの円柱として扱ったが, 結果を密度に直すときには, ビリアル半径Rの球としている. ビリアル半径は250kpc(体積2e72cm3)なので, このせいで半径10倍,高さ100倍,あわせて4桁分(数係数を考えればさらに1桁)下がることになる.
で. 解いているのは拡散方程式を簡略化したもの

であり, ソース項Q(t)に注入率が入っている. これは線型なので, 注入率を増減させる代わりに, 結果にファクターをかけてしまえばよい. というわけで, 規格化という一手間をかければよさそう. (18:28)

2002/07/01 Mon

稼ぎ時

久しぶりに論文執筆. ここ数日, 利用している数値が変かもしれないということが頭を離れず, まずは利用数値のチェックから. チェックすべきは2つ. 拡散係数と注入率. 暗算した予想とは結果が違うことがこれらを原因とするのではなかろうかと思いつつ. (15:59)

fdus の改造

TEX2IMを使って数式を挿入できるようにfdusを改造してみた. (18:11)
解像度その他, オプションを指定できるようにさらに改造. (18:29)

利用数値のチェック

拡散係数, 注入率, ともに問題がないことを確認. う〜ん. 何が悪いのだろう. (17:06)
注入率を として, 銀河に溜まっている宇宙線数は

で求められる. でもって, =nV/T(密度×体積/時間)で与えられるので, 積分値が時間Tより大きくなれば, 密度は大きくなることになる. さらに, この時間は10Myrなので, 積分値が10にどれだけ近いかが勝負. この積分, つまり を計算してみる. (18:37)
途中父親の迎えがあったりもしたが, とりあえずプロットさせてみた.

縦軸は積分値に1e12を乗じたもの, 横軸は赤方偏移. どうみたって積分値は10を超えてる... 謎は深まるばかりでございます. (21:38)

2002/06/20 Thu

執筆開始

昨日の続きを再開. まずは昨日描いたグラフのチェック. 他のグラフにもちょこちょこ手直しをしてみた. あとはキャプションと本文. (15:24)

7枚目のグラフ

7枚目のグラフ用のMakefileの作成開始. (15:35)
ようやく終了... これからcaptionを直す作業. (16:26)
縦軸のミスを直しつつ, 本文が完成. ということで, しばしblack out. (16:55)

データ生成

black outの間, 9枚目のグラフ用にデータを生成. 起きてみたものの, まだ終わってない. (18:00)

8枚目のグラフ

キャプション, 本文ともに完成. 以前のコードを流用するだけなのでさほどでもなかった. (19:17)

9枚目のグラフ

で, 9枚目を描きたいのだが, まだ計算が終わらない. とりあえずEdSだけでもプロットしてみる. (19:18)


2002/06/19 Wed

投稿論文執筆再開

昨日はサッカー観戦で執筆が全然進まなかったので, 巻き直し. 時系列に沿って記録してみる. (16:07)

initial redshift による依存性 - Data Creation

まずZiniに関する依存性を示すためのデータ作成. 実はこれはすでに先週木曜に作ってあるので, それをそのまま利用する. (16:09)

step parameter への依存性 - Data Creation

先週の木曜の執筆が進まなかったのは, このデータが原因. timestep をdynamical timeの何倍に設定するかというパラメータを用意したので, そのパラメータに対する数値の依存性を調べようと思ったら, 1/100に設定したときの計算が12h/runになってしまった(大学のDEC/Alphaを用いて. Pen4あたりだと1.5倍くらいになってもおかしくない. やる気もおきないので検証してないけれど). 木曜がこれで潰れたのが敗因... 他の部分から書けばいいのに, と後になって思ったりもしたけれど, 後の祭り. で, 1/100 と 1/10 は大学のコンピュータが頑張ってくれたので, 今日は1倍と10倍についての計算. (16:12)

と, 書いているうちに計算が終わるはずだったのに, 一向に終わらないので, Makefileを見てみたら, 1/100 の設定のままだった. これでは終わらない. ということで, 書き直して再度挑戦... 終了. (16:14)

Makefile の書法

で, Makefile があまりにも汚いので, Makefile の分割を試みる. Makefileに include 機能があればいいなと思いつつ捜すも, Web 上になかなか情報が見付からず. 仕方がないから英語なページを捜したら, 結局ここに辿りつく... って, 結局 GNU じゃねぇか. ってなわけで, 無事include を発見. 分割してみた. Good! (16:43)

step parameter への依存性 - Data Creation II

プロットするために, Coma cluster内の宇宙線量を求めるプログラムを噛ませる. プロットデータを作成している間, コンピュータがハングったり, 1/100のせいでやはり時間がかかったりで, 意外に大変. (17:40)

5枚目のグラフ作成

データはできたので, 5枚目のグラフを作成... と. また調子が悪くなったのでリブートしたり, TV観賞が入ったりしたが, とりあえずサンプルプロット. 10倍はあまりにもデータが汚いので削除. 1/10と1/100はほとんど差がないことが示される. しかし1倍とはそれなりに差があるのと, 従来使ってきた1/2も少し離れていることが見えている. どうするのが妥当なのだろうか...(18:27)

1/100をグレー, 1/10を実線, 1/2を破線, 1倍を点線で描いておくことにしよう. 凡例をつけて, とりあえず見栄えを良くしてみた. (18:47)

父親の迎え, 食事その他を経て, 再開. (23:11)
ほーっとしていたら, いつの間にやら25:25(.hack観賞終わり). で, 書きだしていたらグラフが1枚足りないことに気付く. Ziniを変えた図を描いていなかったので, これを描いてみる. こっちはもっと味気ない. 結局どの赤方偏移で計算しても結果は変わらないことを図にするだけ. 3本の線がほぼ重なってしまっているので... ま, とりあえず載せておこう. (25:55)
で, プロット完了. (26:11)
いきなりハング. 再起動したらMeな起動画面からちっとも動かなくなる. でもHDDは何やら一生懸命働いてるし. 何やってたんだろう. 何はともあれ, ようやく復旧. (26:52)
父親が起きてきたのでその相手をしたりもしつつ, 本文を書きあげる. あとは図のキャプションを入れなきゃ. (27:31)

II. 計算上のパラメータの効果の検証

計算時にtimestepを決めるパラメータ, および計算開始の時刻を決めるパラメータが存在する. それらパラメータには物理的根拠がないため, これらに大きく依存するような計算であってはならない. その影響を図により示す.
  1. まずtimestepの影響. 基準となるのは力学的時間(重力によるboundの時間スケール). 1/10と1/100はほとんど差がない. ところが計算時間は10倍じゃきかない. ということで, 1/10あたりが妥当かも. でも通常の計算は今のところ1/2でやっている. この数字に根拠があるわけじゃないんだけど.
  2. つぎに赤方偏移の初期値に対する依存性. これは完全に無視できる. ただし閉じこめ効果が強いときは, 密度が十分上がるまでは差異が生じているのが見える.
とりあえずこんなところでよかろう. (28:07)

6枚目のグラフ作成

プロットしてみたら, Makefileのデータ生成にミスがあったことが発覚. 書きなおしてデータを作り直す. 計算を待つ間にII.を書きあげるものの, まだ終わらず... そういえば flat universe の時の計算て結構時間がかかるんだった... (28:25) どうやら, 10min/run かかる模様. とりあえずデータ生成が成功したかどうかを見極めて, 今日は終了ということになりそう... 本当はγ線データの生成までやりたかったんだけどなぁ... 見積りで4時間くらいかかる仕事量なのに... (28:26) とりあえずプロット完了. 12min/runでした. 凡例はEdS(灰)とLambda(黒). あとはグループごとに1pc, 100pc, 10kpcとコメントを付加. まずまず, かな. ということで, 本日はここまで. (28:45)

2002/06/12 Wed

投稿論文執筆再開

ようやく気力が充実したので, いよいよ本丸. 以前書いた準備稿に沿いつつ, 追加データやらプロットしなおしやらが入るので, なかなか進まない.

I. 拡散の効果の検証

銀河団やγ線背景輻射の評価に対して, 銀河団の生成過程を加味することが重要であるというのがこの論文の主旨. で, その生成過程において, 宇宙線を閉じこめることができていたかどうかが決め手となる, と言いたい. そのために, まず拡散で近似をして, 散逸の効果をとりこむことを主張する.
で, そのためのプロットを4枚.

  1. 1枚目は「標準質量」の進化. 現在ある質量の天体は, その昔は(平均的には)どれくらいの質量だったのかを示した図. 宇宙論パラメータの違いに対する質量進化の違いもあわせてプロットしてある.
  2. 2枚目は恒星生成率(SFR)の進化. 昔ほど星の生成活動が活発だったことを, 解析的な式にしてあるので(Madau et al.), それを利用することにし, 式の紹介が面倒なので, 図示. ただし, その式を本格的に使うのは後ほど.
  3. 3枚目は拡散係数の変化. 拡散を効かせるほど宇宙線は散逸する. 当然といえば当然の結果が出る. 特に高赤方偏移で顕著な効果. これは特にγ線背景を考えるときに効くということを意味する.
  4. 最後に天体質量に対する依存性. 重くなるほど閉じこめが効くことを図示. これは重くなるほど半径が増大することで理解できる.
と, ここまで書いたら時間および気力が尽きたので, 明日継続.

2002/06/11 Tue

新たな日誌のはじまり

研究関連の日誌については別システムにしようかと思い、hnsとは別のシステムを捜してみました。

はじめてのfdus

簡単な日誌システムを構築しようということで、fdusを導入してみる。Perlなので、いろいろ改造してみようかと。